エンジニアでなくても知っておきたい「データベース」の基本
データベースとは何か? Excelとの違い、RDBとNoSQLの種類、SQLやDBMSの役割、身近なサービスでの活用例まで、プログラミング経験ゼロでもわかるようにやさしく解説します。
データベースとは何か? Excelとの違い、RDBとNoSQLの種類、SQLやDBMSの役割、身近なサービスでの活用例まで、プログラミング経験ゼロでもわかるようにやさしく解説します。
「データベースって何?」と聞かれて、パッと説明できますか? エンジニアやデータサイエンティストだけが知っていればいいと思われがちですが、実はデータベースは私たちの日常に深く根付いています。Amazonで商品を検索するとき、病院で電子カルテを見てもらうとき、カフェのポイントカードを使うとき——その裏側ではすべてデータベースが動いています。
この記事では、プログラミング経験ゼロの方でも理解できるように、データベースの基本概念から種類、そして身近な活用例までをやさしく解説します。読み終えるころには「データベースってそういうことだったのか」とスッキリ理解でき、エンジニアとの会話やツール選定の場面で自信を持てるようになるはずです。
結論からお伝えすると、データベースとは「検索・管理しやすいように整理されたデータの集まり」のこと。この基本を押さえるだけで、ITの話がぐっと身近になります。
データベース(Database、略してDB)とは、一定のルールに従って整理・蓄積されたデータの集まりのことです。
もう少しかみ砕くと、「必要な情報をすぐに探し出せるように、構造を持たせて保存したデータ群」と言えます。
デジタルに限った話ではありません。たとえば以下のようなものも、広い意味ではデータベースです。
共通しているのは、「特定のルールで整理されていて、欲しい情報をすぐに探し出せる」 という点です。
コンピュータの世界では、この仕組みをソフトウェアで電子的に実現したものを「データベース」と呼んでいます。
「それなら Excel でよくない?」と思った方もいるかもしれません。たしかに Excel も表形式でデータを管理できます。しかし、両者には明確な違いがあります。
| 比較ポイント | Excel | データベース |
|---|---|---|
| 主な用途 | 表計算・分析 | データの管理・検索 |
| データ量 | 1シート約100万行が上限 | 数千万〜数億件も対応可能 |
| 同時利用 | 複数人での同時編集に制限あり | 多人数が同時にアクセスできる |
| データの安全性 | セルを直接触るため誤操作のリスクあり | フォーム経由で入力し、元データを保護 |
| 検索速度 | データ量が増えると遅くなる | 大量データでも高速に検索可能 |
ひとことでまとめると、少量のデータをサッと整理・計算するなら Excel、大量のデータを安全かつ高速に管理・検索するならデータベースという使い分けになります。
数十件の顧客リストなら Excel で十分ですが、数万件を超えるような顧客情報を複数人で運用する場合は、データベースの出番です。
データベースの中身は、基本的にテーブル(表) で構成されています。Excel のシートをイメージするとわかりやすいです。
| ID | 氏名 | メールアドレス | 購入回数 |
|---|---|---|---|
| 001 | 田中 太郎 | tanaka@example.com | 5 |
| 002 | 鈴木 花子 | suzuki@example.com | 12 |
| 003 | 佐藤 一郎 | sato@example.com | 3 |
この表を構成する要素には、それぞれ名前がついています。
この テーブル・カラム・レコード という3つの用語を覚えておくだけで、エンジニアとの会話がかなりスムーズになります。
データベースにはいくつかの種類がありますが、現在主流なのは大きく分けて RDB(リレーショナルデータベース) と NoSQL の2つです。
RDB は、先ほどの「テーブル(表)」を使ってデータを管理する方式です。複数のテーブルをリレーション(関連付け) でつなげられるのが最大の特徴で、現在最も広く使われています。
たとえば「顧客テーブル」と「注文テーブル」を顧客IDで紐づければ、「この顧客がどの商品を注文したか」をすぐに引き出せます。
代表的な RDB 製品:
NoSQL(Not Only SQL)は、RDB の表形式にとらわれない柔軟なデータベースの総称です。画像・動画・JSON など、Excel のセルに収まらないような多様なデータを扱うのに向いています。
代表的な NoSQL 製品:
| RDB | NoSQL | |
|---|---|---|
| データ構造 | 表形式(テーブル) | 柔軟(JSON、キー・バリューなど) |
| 得意なこと | データの正確性・整合性の担保 | 大量データの高速処理、柔軟な構造変更 |
| 向いている場面 | 会計・在庫管理・顧客管理など | SNS・リアルタイム分析・IoT など |
正確さが重要なら RDB、スピードと柔軟性が求められるなら NoSQL。実際のサービスでは、両方を組み合わせて使うケースも少なくありません。
データベースを実際に作成・操作・管理するためのソフトウェアを DBMS(データベース管理システム:Database Management System) と呼びます。
先ほど紹介した MySQL や PostgreSQL、MongoDB なども、正確には DBMS にあたります。
DBMS が担っている主な役割は以下のとおりです。
つまり DBMS は、データベースという「箱」に対して、安全に・高速に・矛盾なくデータを出し入れするための仕組みを提供してくれる存在です。
RDB を操作する際に使う言語が SQL(Structured Query Language) です。プログラミング言語とは少し異なり、データの操作に特化したシンプルな言語として設計されています。
SQL を使うと、たとえばこんな操作ができます。
-- 購入回数が10回以上の顧客を取得する SELECT 氏名, メールアドレス FROM 顧客テーブル WHERE 購入回数 >= 10;
英語の命令文に近い構文なので、読むだけならプログラマーでなくても意味がつかめるのが SQL の良いところです。
SQL は国際標準化されているため、MySQL でも PostgreSQL でも Oracle でも、基本的な書き方は共通しています。「一つ覚えれば、どの RDB でもだいたい使える」のは大きなメリットです。
💡 エンジニアでなくても、マーケターやデータアナリストが SQL を学んでデータ抽出を行うケースは増えています。「プログラミングは無理……」という方でも、SQL だけなら比較的とっつきやすいので、興味があれば入門書やオンライン教材を試してみる価値はあります。
最後に、日常生活で私たちが何気なく使っているサービスの裏側で、データベースがどのように働いているかを見てみましょう。
商品情報、顧客情報、注文履歴、在庫数——これらすべてがデータベースで管理されています。「おすすめ商品」の表示も、購買履歴のデータベースをもとに算出されています。
投稿テキスト、画像、フォロー関係、いいねの数。膨大なユーザーの行動データを、NoSQL を含むデータベースでリアルタイムに処理しています。
患者の診察記録、検査結果、処方歴など、正確性が命のデータを RDB で厳密に管理しています。
世界中の Web ページ情報をインデックス化し、超大規模なデータベースとして保持。キーワードを入力するだけで瞬時に結果を返せるのは、高度なデータベース技術のおかげです。
空席や空室の情報をリアルタイムで管理し、ダブルブッキングが起きないように制御しています。これも DBMS の同時アクセス制御が支えている仕組みです。
データベースは、エンジニアだけのものではありません。ビジネスの現場で意思決定をするうえでも、データベースの基本を知っておくことは大きなアドバンテージになります。
この記事のポイントを振り返ります。
まずは「データベースってこういうものなんだ」という全体像をつかんでおくだけで十分です。そこから興味が出てきたら、SQL の入門に挑戦してみるのもおすすめですよ。