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エンジニアでなくても知っておきたい「データベース」の基本

データベースとは何か? Excelとの違い、RDBとNoSQLの種類、SQLやDBMSの役割、身近なサービスでの活用例まで、プログラミング経験ゼロでもわかるようにやさしく解説します。

2026-02-10
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「データベースって何?」と聞かれて、パッと説明できますか? エンジニアやデータサイエンティストだけが知っていればいいと思われがちですが、実はデータベースは私たちの日常に深く根付いています。Amazonで商品を検索するとき、病院で電子カルテを見てもらうとき、カフェのポイントカードを使うとき——その裏側ではすべてデータベースが動いています。

この記事では、プログラミング経験ゼロの方でも理解できるように、データベースの基本概念から種類、そして身近な活用例までをやさしく解説します。読み終えるころには「データベースってそういうことだったのか」とスッキリ理解でき、エンジニアとの会話やツール選定の場面で自信を持てるようになるはずです。

結論からお伝えすると、データベースとは​「検索・管理しやすいように整理されたデータの集まり」​のこと。この基本を押さえるだけで、ITの話がぐっと身近になります。

データベースとは? 「整理されたデータの集まり」

データベース(Database、略してDB)とは、​一定のルールに従って整理・蓄積されたデータの集まり​のことです。

もう少しかみ砕くと、「必要な情報をすぐに探し出せるように、構造を持たせて保存したデータ群」と言えます。

実は身の回りにもある「データベース」

デジタルに限った話ではありません。たとえば以下のようなものも、広い意味ではデータベースです。

  • ​電話帳​:名前の五十音順に、電話番号と住所が整理されている
  • ​図書館の蔵書カタログ​:タイトル・著者・ジャンル・配架場所が体系的にまとまっている
  • ​レシピノート​:料理名ごとに材料・手順が記録されている

共通しているのは、​「特定のルールで整理されていて、欲しい情報をすぐに探し出せる」​ という点です。

コンピュータの世界では、この仕組みをソフトウェアで電子的に実現したものを「データベース」と呼んでいます。

データベースとExcelは何が違うの?

「それなら Excel でよくない?」と思った方もいるかもしれません。たしかに Excel も表形式でデータを管理できます。しかし、両者には明確な違いがあります。

比較ポイントExcelデータベース
​主な用途​表計算・分析データの管理・検索
​データ量​1シート約100万行が上限数千万〜数億件も対応可能
​同時利用​複数人での同時編集に制限あり多人数が同時にアクセスできる
​データの安全性​セルを直接触るため誤操作のリスクありフォーム経由で入力し、元データを保護
​検索速度​データ量が増えると遅くなる大量データでも高速に検索可能

ひとことでまとめると、​少量のデータをサッと整理・計算するなら Excel、大量のデータを安全かつ高速に管理・検索するならデータベース​という使い分けになります。

数十件の顧客リストなら Excel で十分ですが、数万件を超えるような顧客情報を複数人で運用する場合は、データベースの出番です。

データベースの仕組み:テーブル・カラム・レコード

データベースの中身は、基本的に​テーブル(表)​ で構成されています。Excel のシートをイメージするとわかりやすいです。

ID氏名メールアドレス購入回数
001田中 太郎tanaka@example.com5
002鈴木 花子suzuki@example.com12
003佐藤 一郎sato@example.com3

この表を構成する要素には、それぞれ名前がついています。

  • ​テーブル(Table)​:データをまとめた「表」そのもの。上の例だと「顧客テーブル」にあたります
  • ​カラム(Column)​:表の「列」。「氏名」「メールアドレス」などの項目のこと
  • ​レコード(Record)​:表の「行」。1人分の顧客データなど、1件分のデータのこと

この ​テーブル・カラム・レコード​ という3つの用語を覚えておくだけで、エンジニアとの会話がかなりスムーズになります。

データベースの種類:RDB と NoSQL

データベースにはいくつかの種類がありますが、現在主流なのは大きく分けて ​RDB(リレーショナルデータベース)​​NoSQL​ の2つです。

RDB(リレーショナルデータベース)

RDB は、先ほどの「テーブル(表)」を使ってデータを管理する方式です。複数のテーブルを​リレーション(関連付け)​ でつなげられるのが最大の特徴で、現在最も広く使われています。

たとえば「顧客テーブル」と「注文テーブル」を顧客IDで紐づければ、「この顧客がどの商品を注文したか」をすぐに引き出せます。

​代表的な RDB 製品:​

  • ​MySQL​:Web アプリケーションで最も広く使われるオープンソース DB
  • ​PostgreSQL​:データの整合性に優れ、複雑な処理に強い
  • ​Oracle Database​:大企業の基幹システムでよく採用される

NoSQL

NoSQL(Not Only SQL)は、RDB の表形式にとらわれない柔軟なデータベースの総称です。画像・動画・JSON など、Excel のセルに収まらないような多様なデータを扱うのに向いています。

​代表的な NoSQL 製品:​

  • ​MongoDB​:ドキュメント型。JSON に似た形式でデータを保存する
  • ​Redis​:キー・バリュー型。高速なキャッシュ処理が得意
  • ​Cassandra​:分散処理に強く、大規模データ向け

どちらを使うべき?

​RDB​​NoSQL​
​データ構造​表形式(テーブル)柔軟(JSON、キー・バリューなど)
​得意なこと​データの正確性・整合性の担保大量データの高速処理、柔軟な構造変更
​向いている場面​会計・在庫管理・顧客管理などSNS・リアルタイム分析・IoT など

正確さが重要なら RDB、スピードと柔軟性が求められるなら NoSQL。実際のサービスでは、両方を組み合わせて使うケースも少なくありません。

DBMS とは? データベースを動かす「管理ソフト」

データベースを実際に作成・操作・管理するためのソフトウェアを ​DBMS(データベース管理システム:Database Management System)​ と呼びます。

先ほど紹介した MySQL や PostgreSQL、MongoDB なども、正確には DBMS にあたります。

DBMS が担っている主な役割は以下のとおりです。

  • ​データの登録・検索・更新・削除​(いわゆる CRUD 操作)
  • ​同時アクセスの制御​:複数のユーザーが同時にデータを操作しても矛盾が起きないようにする
  • ​セキュリティ管理​:アクセス権限を設定し、不正なアクセスを防ぐ
  • ​バックアップと復旧​:障害時にデータを復元できるようにする

つまり DBMS は、データベースという「箱」に対して、​安全に・高速に・矛盾なくデータを出し入れするための仕組み​を提供してくれる存在です。

SQL とは? データベースと対話するための「言語」

RDB を操作する際に使う言語が ​SQL(Structured Query Language)​ です。プログラミング言語とは少し異なり、​データの操作に特化したシンプルな言語​として設計されています。

SQL を使うと、たとえばこんな操作ができます。

-- 購入回数が10回以上の顧客を取得する
SELECT 氏名, メールアドレス
FROM 顧客テーブル
WHERE 購入回数 >= 10;

英語の命令文に近い構文なので、読むだけならプログラマーでなくても意味がつかめるのが SQL の良いところです。

SQL は国際標準化されているため、MySQL でも PostgreSQL でも Oracle でも、基本的な書き方は共通しています。「一つ覚えれば、どの RDB でもだいたい使える」のは大きなメリットです。

💡 エンジニアでなくても、マーケターやデータアナリストが SQL を学んでデータ抽出を行うケースは増えています。「プログラミングは無理……」という方でも、SQL だけなら比較的とっつきやすいので、興味があれば入門書やオンライン教材を試してみる価値はあります。

身近なサービスの裏側にあるデータベース

最後に、日常生活で私たちが何気なく使っているサービスの裏側で、データベースがどのように働いているかを見てみましょう。

🛒 オンラインショッピング(Amazon、楽天など)

商品情報、顧客情報、注文履歴、在庫数——これらすべてがデータベースで管理されています。「おすすめ商品」の表示も、購買履歴のデータベースをもとに算出されています。

📱 SNS(X、Instagram など)

投稿テキスト、画像、フォロー関係、いいねの数。膨大なユーザーの行動データを、NoSQL を含むデータベースでリアルタイムに処理しています。

🏥 医療(電子カルテ)

患者の診察記録、検査結果、処方歴など、正確性が命のデータを RDB で厳密に管理しています。

🔍 検索エンジン(Google)

世界中の Web ページ情報をインデックス化し、超大規模なデータベースとして保持。キーワードを入力するだけで瞬時に結果を返せるのは、高度なデータベース技術のおかげです。

✈️ 予約システム(航空券・ホテル)

空席や空室の情報をリアルタイムで管理し、ダブルブッキングが起きないように制御しています。これも DBMS の同時アクセス制御が支えている仕組みです。

まとめ

データベースは、エンジニアだけのものではありません。ビジネスの現場で意思決定をするうえでも、データベースの基本を知っておくことは大きなアドバンテージになります。

この記事のポイントを振り返ります。

  • ​データベースとは​、検索・管理しやすいように整理されたデータの集まり
  • ​Excel との違い​は、大量データの安全な管理・高速検索・同時アクセスへの対応力
  • ​テーブル・カラム・レコード​の3つの用語を覚えれば、基本構造は理解できる
  • データベースの種類は大きく分けて ​RDB(表形式・正確性重視)​​NoSQL(柔軟・速度重視)​ の2つ
  • ​DBMS​ がデータベースを安全に管理し、​SQL​ がデータを操作する言語
  • 私たちの日常は、あらゆる場面でデータベースに支えられている

まずは「データベースってこういうものなんだ」という全体像をつかんでおくだけで十分です。そこから興味が出てきたら、SQL の入門に挑戦してみるのもおすすめですよ。