「デザインシステム」って何?なぜ必要なのかを分かりやすく解説
デザインシステムとは、UIコンポーネントやデザイン原則、ガイドラインをまとめた「デザインの共通言語」です。本記事では、デザインシステムの基本概念から導入メリット、有名な事例までを分かりやすく解説します。
デザインシステムとは、UIコンポーネントやデザイン原則、ガイドラインをまとめた「デザインの共通言語」です。本記事では、デザインシステムの基本概念から導入メリット、有名な事例までを分かりやすく解説します。
Webサービスやアプリを触っていて、「このサービス、どの画面も操作しやすいな」「ブランドの雰囲気が統一されていて心地いい」と感じたことはありませんか?
その裏側には、デザインシステムという仕組みが存在していることが少なくありません。近年、GoogleやApple、日本ではデジタル庁など、多くの組織がデザインシステムを構築・公開しています。
この記事では、「デザインシステムって最近よく聞くけど、結局なんなの?」という疑問に答え、その必要性や具体的なメリットまで、できるだけ分かりやすく解説していきます。
デザインシステムとは、プロダクトのデザインに関するルールやパーツを体系的にまとめた「仕組み」のことです。
もう少し具体的に言うと、以下のような要素が含まれます。
| 構成要素 | 説明 |
|---|---|
| デザイン原則 | 「らしさ」や「大切にすること」を言語化した指針 |
| スタイルガイド | 色、タイポグラフィ、余白などのビジュアルルール |
| UIコンポーネント | ボタン、フォーム、カードなど再利用可能なパーツ |
| ガイドライン | 各要素の使い方やアクセシビリティの指針 |
これらをひとまとめにし、デザイナーや開発者が共通で参照できる「唯一の情報源(Single Source of Truth)」として機能させるのがデザインシステムの役割です。
よく混同されがちですが、デザインシステムはスタイルガイドやコンポーネントライブラリの上位概念です。
つまり、スタイルガイドやコンポーネントライブラリは、デザインシステムの一部に過ぎません。デザインシステムは、それらに加えて「なぜそのデザインなのか」「どう使うべきか」という思想と運用まで含んでいるのです。
プロダクトが成長するにつれ、画面数は増え、関わるデザイナーやエンジニアも増えていきます。
デザインシステムがない場合、担当者ごとに微妙に異なるボタンのスタイルや、統一感のない色使いが生まれがちです。結果として、ユーザーは画面ごとに異なる操作感を強いられ、使いづらさやブランドへの不信感につながります。
デザインシステムがあれば、誰がどの画面を作っても同じ品質を保てます。ユーザーは直感的に操作でき、ブランドへの信頼も高まります。
新しい機能を作るたびに、ボタンやフォームをゼロから設計・実装するのは非効率です。
デザインシステムには、すでにテスト済みのUIコンポーネントが用意されています。開発者はそれを組み合わせるだけで画面を構築でき、デザイン決定や実装にかかる時間を大幅に短縮できます。
ある調査では、デザインシステムの導入により開発効率が20〜50%向上したという報告もあります。
「このボタン、もう少し角丸を大きくして」「余白はどれくらい?」
こうしたコミュニケーションは、認識のズレを生みやすいポイントです。
デザインシステムでは、コンポーネントに明確な名前(例:Button-Primary-Large)がつけられ、Figmaのデザインデータとコードが1対1で対応しています。これにより、デザイナーと開発者が同じ言葉で会話でき、無駄な確認作業や手戻りが激減します。
色のコントラスト比、キーボード操作への対応、スクリーンリーダーへの配慮——。
アクセシビリティ対応は重要ですが、毎回個別に対応するのは大きな負担です。
デザインシステムでは、コンポーネントの設計段階でアクセシビリティ要件を組み込んでおくことで、使うだけで自然とアクセシブルなUIが実現できます。
デザインシステムへの理解を深めるには、実際に公開されているものを見るのが一番です。以下は、参考になる代表的な事例です。
Googleが提唱するデザインシステムで、Androidアプリをはじめ、多くのプロダクトで採用されています。物理的な「紙」や「インク」の概念をベースにした設計思想が特徴的です。
iOSやmacOSのアプリ設計の指針となるドキュメントです。Appleらしい洗練された体験を実現するための原則が詳しく記載されています。
日本の行政機関向けに公開されているデザインシステムです。アクセシビリティへの配慮が非常に手厚く、公共性の高いWebサービスを作る際の参考になります。
IBMのプロダクト群で使われるデザインシステム。Reactなどのフレームワーク向けコンポーネントライブラリが充実しており、実装面での参考になります。
メリットが多いデザインシステムですが、導入には注意も必要です。
デザイン原則の策定、コンポーネント設計、ドキュメント作成、Figmaとコードの連携……。
ゼロから構築する場合、数ヶ月単位の時間と専任メンバーが必要になることもあります。小規模なプロジェクトでは、既存のオープンソースのデザインシステムをベースにカスタマイズするのも現実的な選択肢です。
デザインシステムは「作って終わり」ではありません。
プロダクトの進化に合わせてコンポーネントを追加・更新し、ドキュメントを最新に保つ必要があります。運用体制を整えずに導入すると、次第に使われなくなり、形骸化してしまうリスクがあります。
ルールを厳格にしすぎると、創造性が制限されたり、特殊なケースに対応できなくなったりします。
デザインシステムは「縛るためのルール」ではなく、効率よく高品質なものを作るための土台です。例外を許容する柔軟さと、守るべき一貫性のバランスを意識することが大切です。
デザインシステムとは、UIコンポーネント、デザイン原則、ガイドラインを統合した「デザインの共通言語」です。
導入することで、以下のようなメリットが得られます。
初期構築や運用にはコストがかかりますが、プロダクトが成長するほど、その恩恵は大きくなります。
デザインシステムは、短期的なタスクではなく、プロダクトの品質と開発効率を長期的に高めるための「投資」として捉えるのがよいでしょう。
もしあなたのチームで「デザインがバラバラ」「毎回同じ議論をしている」といった課題を感じているなら、デザインシステムの導入を検討してみる価値は十分にあります。