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「パスワードの使い回し」がなぜ危険なのか?安全なパスワード管理術

パスワードの使い回しは「パスワードリスト攻撃」の格好の標的となり、一つのサービスから情報が漏洩すると芋づる式に被害が広がります。本記事では、NISTの最新ガイドラインに基づいた安全なパスワードの作り方と、パスワードマネージャーを活用した実践的な管理術を解説します。

2025-12-20
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「同じパスワードを使い回しているけど、本当に危険なの?」「複雑なパスワードを覚えきれない…」そんな悩みを抱えていませんか?

実は、パスワードの使い回しは​サイバー攻撃者にとって最も狙いやすい弱点​の一つです。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)やJPCERT/CCといった公的機関も、繰り返しその危険性を警告しています。

本記事では、パスワードの使い回しがなぜ危険なのかを具体的に解説し、米国国立標準技術研究所(NIST)の最新ガイドラインに基づいた​安全なパスワードの作り方​と、​パスワードマネージャーを活用した実践的な管理術​をお伝えします。

読み終えた後には、今日から実践できる具体的なセキュリティ対策が明確になっているはずです。

パスワードの使い回しが危険な理由

「パスワードリスト攻撃」の標的になる

パスワードを使い回すことの最大のリスクは、​パスワードリスト攻撃​と呼ばれるサイバー攻撃の格好の標的になることです。

パスワードリスト攻撃とは、攻撃者がどこかのサービスから流出したIDとパスワードのリストを入手し、それを使って他のサービスへの不正ログインを試みる手口です。

たとえば、あなたがサービスAとサービスBで同じパスワードを使っていたとします。もしサービスAで情報漏洩が起きた場合、攻撃者はその情報を使ってサービスBにも簡単にログインできてしまうのです。

芋づる式に被害が拡大する

一つのアカウントが突破されると、被害は連鎖的に広がります。

  • ​メールアカウント​が乗っ取られれば、他サービスのパスワードリセットが可能に
  • ​ECサイト​のアカウントが乗っ取られれば、不正購入の被害に
  • ​SNSアカウント​が乗っ取られれば、なりすまし被害や詐欺の踏み台に
  • ​金融サービス​のアカウントが乗っ取られれば、資産を直接失う可能性も

このように、たった一つのパスワード漏洩が、あなたのデジタルライフ全体を危険にさらす可能性があるのです。

情報漏洩は「起こるもの」という前提で考える

「自分が使っているサービスは大丈夫」と思っていませんか?

残念ながら、情報漏洩は世界中で日常的に発生しています。大企業であっても例外ではありません。​パスワードは漏れるもの​という前提で対策を考えることが、現代のセキュリティにおける基本姿勢です。

NISTが示す「パスワードの新常識」

従来の常識は覆された

「パスワードは記号や数字を混ぜて複雑に」「定期的に変更すべき」——これらは長年信じられてきた常識でした。

しかし、米国国立標準技術研究所(NIST)は2024年に公開したガイドライン(SP 800-63B)で、これらの常識を明確に否定しました。

新しいガイドラインの4つのポイント

NISTの新ガイドラインが示す重要なポイントは以下の通りです。

従来の常識NISTの新ガイドライン
記号・数字・大文字小文字を必ず含める​複雑さのルールは不要​
8文字以上あれば十分​最低8文字、推奨15文字以上​
定期的にパスワードを変更する​定期変更は不要(漏洩時のみ変更)​
秘密の質問で本人確認​秘密の質問は廃止すべき​

なぜ「長さ」が重要なのか

複雑さよりも長さが重視される理由は、​総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)への耐性​にあります。

たとえば、8文字のパスワードと16文字のパスワードでは、解読にかかる時間が天と地ほど違います。記号を無理に入れて覚えにくくするよりも、​覚えやすくて長いフレーズ​を使う方が、セキュリティ的にも実用的にも優れているのです。

なぜ定期変更が推奨されなくなったのか

定期的なパスワード変更を強制すると、ユーザーは以下のような行動を取りがちです。

  • パスワードを単純化する(覚えやすくするため)
  • 末尾の数字だけを変える(password1 → password2)
  • 使い回しを増やす(管理が面倒になるため)

結果として、​かえってセキュリティが低下する​ことがわかっています。そのため、現在は「漏洩が確認された場合にのみ変更する」という考え方が主流になっています。

安全なパスワードの作り方

パスフレーズを活用する

NISTが推奨するのは、​パスフレーズ​と呼ばれる手法です。これは、複数の単語を組み合わせて長いパスワードを作る方法です。

​良いパスフレーズの例:​

  • coffee-morning-station-blue(28文字)
  • 山登り好きな猫と海辺の散歩(日本語も可)

このようなパスフレーズは、以下のメリットがあります。

  • ​覚えやすい​:意味のある言葉の組み合わせ
  • ​長い​:15文字以上を自然に達成
  • ​推測されにくい​:ランダムな単語の組み合わせ

避けるべきパスワード

一方、以下のようなパスワードは絶対に避けてください。

  • ​よく使われるパスワード​123456passwordqwertyなど
  • ​個人情報を含むもの​:誕生日、名前、電話番号など
  • ​辞書に載っている単語1つ​appledragonなど
  • ​キーボードの並び​asdfghzxcvbnなど

パスワードマネージャーのすすめ

なぜパスワードマネージャーが必要なのか

「サービスごとに異なる長いパスワードを設定する」——これを人間の記憶力だけで実現するのは、現実的ではありません。

そこで活用したいのが​パスワードマネージャー​です。パスワードマネージャーを使えば、以下のことが可能になります。

  • ​すべてのパスワードを安全に一元管理​
  • ​強力なランダムパスワードを自動生成​
  • ​ログイン時に自動入力​
  • ​複数デバイス間での同期​

覚える必要があるのは、​マスターパスワード1つだけ​です。

代表的なパスワードマネージャー

現在、信頼性の高いパスワードマネージャーとして、以下のサービスが広く利用されています。

サービス名特徴料金目安
​1Password​使いやすさと機能性のバランスが良い定番サービス月額約3ドル〜
​Bitwarden​オープンソースで透明性が高い。無料プランでも実用的無料〜月額約1ドル
​Keeper​企業向け機能が充実。セキュリティ監査にも対応月額約3ドル〜

どれを選んでも、パスワードを使い回す現状よりは​格段に安全​です。

筆者のおすすめは「1Password」

私自身、複数のパスワードマネージャーを試してきましたが、最終的に落ち着いたのは​1Password​です。

実際に数年間使い続けて感じているメリットは以下の通りです。

  • ​UIが直感的で迷わない​:初めてパスワードマネージャーを使う人でも、すぐに操作に慣れる
  • ​ブラウザ拡張機能の完成度が高い​:ログインフォームの検出精度が高く、自動入力がスムーズ
  • ​複数デバイス間の同期が安定​:Mac・iPhone・Windows・Androidなど、どの環境でもストレスなく使える
  • ​Watchtower機能が便利​:漏洩したパスワードや脆弱なパスワードを自動で検出してくれる

月額料金はかかりますが、​セキュリティと利便性のバランスを考えると十分に価値がある投資​だと感じています。無料で始めたい方はBitwardenもおすすめですが、使い勝手の良さを重視するなら1Passwordを強くおすすめします。

二要素認証(2FA)を併用する

パスワードに加えて、​二要素認証(2FA)​を設定することで、セキュリティはさらに強化されます。

二要素認証とは、パスワードに加えて「本人だけが持っているもの」(スマートフォンなど)で認証を行う仕組みです。

二要素認証の種類

  • ​認証アプリ​:Google Authenticator、Microsoft Authenticatorなど
  • ​SMS認証​:電話番号にコードが送られる(セキュリティ的には認証アプリより弱い)
  • ​ハードウェアキー​:YubiKeyなどの物理デバイス(最も安全)

重要なサービス(メール、金融、SNSなど)には、​必ず二要素認証を設定​しましょう。

今日から始める3つのアクション

最後に、本記事の内容を踏まえて、今日から実践できるアクションをまとめます。

ステップ1:最重要アカウントのパスワードを変更する

まずは、以下の重要なアカウントのパスワードを見直してください。

  1. ​メインのメールアカウント​(他のサービスのパスワードリセットに使われるため最重要)
  2. ​金融サービス​(銀行、証券、決済サービス)
  3. ​よく使うSNS​

ステップ2:パスワードマネージャーを導入する

Bitwardenなら無料で始められます。まずは一つのサービスで試してみて、徐々に管理するパスワードを増やしていきましょう。

ステップ3:二要素認証を有効にする

上記の重要アカウントから順番に、二要素認証を設定していきます。認証アプリ(Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticator)のインストールがおすすめです。

まとめ

パスワードの使い回しは、​パスワードリスト攻撃​という現実的な脅威にさらされる危険な習慣です。一つの情報漏洩が、あなたのデジタルライフ全体を危険にさらす可能性があります。

NISTの最新ガイドラインが示すように、パスワードは​「複雑さ」よりも「長さ」​が重要です。そして、サービスごとに異なるパスワードを管理するには、​パスワードマネージャー​の活用が現実的な解決策となります。

完璧を目指す必要はありません。まずは今日、一つのパスワードを変更することから始めてみてください。

​参考情報:​